“可もなく不可もなく”
空間を自由に泳ぐ生き方
著 | 若瀬淳子 |
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判型 | 四六頁:121 |
ISBN | 978-4-434-24193-2 |
発行 | 2018年6月 |
定価 | 1,078円(本体980円+税)
在庫:○
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私事ですが、半世紀を生きてきて、最近つくづく考えることがあります。
思えば、二十一歳で看護師になり、その後沢山の患者さんに出会いました。そして、縁あって、看護教員になり、沢山の学生と出会いました。
そして、今、思うことは…。
人との関係の中で、悩みながら自分を見失って辛そうに生きている人が何て多いのだろうかと。
ある学生が、自分の解決できない心のモヤモヤした感情をどうしてよいのかわからないと相談にきたことがありました。「どうして人って、考えたり、悩んだりしてしまうのだろう」と。その時の私が返した言葉は、こうでした。
「仕方がないと思うよ。人間は、そういう生きものだから…」
「他の動物のように、牙もなければ角もない。力もそれほど強くない。生まれたときも未熟。だから、生きるために脳が発達したのだから。悩むようにできているんだよね」
このときの言葉は、私なりの自論です。学生は、「ふうーん、そうかぁ」と少し気が抜けた感じでした。
私自身、立派な肩書きも経歴もなく、自分の力量以上の期待に押し潰されそうになったり、劣等感に落ち込んだり、人との関わりに悩んだり…。ちっぽけな人間なのです。それでも、人間ってそんな生きものだと思って楽になることが、自分には必要だと思うのです。
本書は、あえて医学的知見や、科学的根拠を論じることを避けました。
多くの先人の言葉を自分の都合のよいように解釈し、書き記すことを大切にしました。
そして、私が出会った言葉の中で、心に残ったいくつかをコラムとして、大切な箱(枠)の中にしまい、文中にそっと置きました。
少しでも読みやすく、そしてちょっとだけ、そのいい加減さに笑ってもらえたらいいなと思っています。
心が楽になったり、少し温かい気持ちが生まれてきて、ほっとしてもらえることを願って・・・。
押しつけでなく読みたい人が読めばいい。読者にとって、価値のある一冊になるかどうかは、結果次第…。この本こそが、 可もなく不可もない 本でありたい。
- はじめに
- 1. なぜダメなの
- 2. 心の奥に不安はないか
- 3. なぜアパシー
- 4. 他人の大変と不機嫌を背負わない
- 5. 他人の成功を妬む
- 6. 臆病なあなたは、過去に自尊心を搾取された
- 7. 結局、自分を救うのは自分
- 1. 情報社会の中の自分
- 2. 失敗が許されない時代
- 3. その笑いは、共有できる笑いか
- 4. 数値で評価するということ
- 5. 安全基地がない時代
- 6. 決めつけの社会
- 7. 個性を意識し過ぎる社会
- 8. 大人のミニチュア
- 9. レジリエンスを育む
- 1. 答えを知りたい学生
- 2. レッテルを貼られた人ほど純粋な人がいる
- 3. 暗い自分も悪くない
- 4. 本当におかしいのは、どっち?
- 5. 何故、無理をする
- 6. 最期まで、自分らしく生きられるか
- 7. 利他的行動か、利己的行動か見極める力
- 8. 利他的な人も嫌われる
- 9. 自分をしっかり持つ
- 1. 子どもの頃の問題を老いても抱え続ける
- 2. すっきりしない感情のまま生きる
- 3. 自己犠牲と無償の愛「幸福な王子」から学ぶ
- 4. 生き方のくせ(作られた自分に気づく)
- 5. アディクション
- 6. 憎むことしかできない
- 7. 大勢の中の孤独
- 8. 孤独を大事にする
- 9. 身の丈に合わせて自由に生きる
- 1. ときには、アミニズム的発想
- 2. "こびと"を想像する
- 3. 寝転んで、空に浮かぶ雲を見る
- 4. 空を見上げて、星を見る
- 5. 面倒くさいくらいの自信
- 6. 母なる大地、父なる木
- 7. 一日一回、ちょっと楽しいこと探し
- 8. 記憶をコントロールする
- 9. 禅の言葉を内に取り込む
- 1. 今の自分に責任を持つ
- 2. 楽観的な生き方
- 3. 言うは易く、行うは難し
- 4. 無理することと、努力することは違う
- 5. ピアサポートを・・・
- 6. 過去から、前に進む
- 7. 犯人探しは、無駄なこと
- 8. 何者にもなれない自分を好きになる
- 9. 自分を自分で育て直す
- 10. どうにかなることと、どうにもならないことがある
- 11. 欲を持たずに生きる
- 12. しんどいときこそ本を読む
- 13. 本から伝わるピアサポート
- 14. 好きな本(よだかの星)から=宮沢賢治を考える=
- 1. 可もなく不可もなく
- 2. 自由と我が儘は、違う
- 3. 個人の利益優先で、生きるつらさ
- 4. 今日一日を生きる
- 5. 小さな生きものから学ぶ
- おわりに
- 感謝を込めて
- 付 録