自分史の手引き
-書籍と出版について学びながら-
編著 | 池田勝徳 |
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判型 | B6頁:178 |
ISBN | 978-4-434-25114-6 |
発行 | 2018年8月 |
定価 | 1,760円(本体1,600円+税)
在庫:○
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電子版 | 900円(本体818円+税)
在庫:○
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平均寿命の伸びに伴い「生きがい探し」や文科省などの提唱による「生涯学習のすすめ」の成果として、余裕時間(余暇)の増大および退職年齢の延長、既婚女性の社会参加などの社会変化として具体的に見て取れます。そうした社会変化の中で、わたしたち一般庶民にはますますこれといった新たな形で、「財産」といったものが残せなくなってきています。しかし、こうした中で「自分史」や「自伝」は子孫に誰しもが、平等に「自分の生きざま」を伝えることが出来る貴重な手段・財産といえます。たとえ「平凡な人生」であったとしましても、その間の体験や出来事は、ある意味でドラマチックに子孫や後輩たちへの素晴らしい「贈り物」になりえます。そしてまた「ライフステージ」が広がりグローバル化が進展するのに伴い、それはご自身にとっても新たな生活をおくる糧にもなるといえます。
ご存知のように自分史は、一般にはその人自身がそれまでの生涯について書き綴られたものを指し、通常自伝と同じ意味で使われていて、作家など特定の人が作った書籍ではありません。それは上述のように誰にでも、また誰しもが自信をもって取り組むことのできるものであり、しばしば優れた内容の自分史は「ノンフィクション作品」として爆発的なヒットをみることがあります。たしかに自分史は「過去、現在、未来」を生きてこられた執筆者の歴史を、何らかの形で記録にとどめたものを指しますが、必ずしも文章の形だけで書くものと決まっているわけではなく、その方法として大きく次のような形態・方法をとってなされています。その具体的な例を挙げてみますと、①愛用品や愛読書のほか、旅行スタンプ、チラシ・ポスターを介して、②絵やイラストなどの画集、ビデオ映像や写真に依拠して、③詩や俳句、短歌などを用いるなどと、実にさまざまな形態があります。しかしそれが事実であるとしましても、その主流はやはり文章の形態が中心であるということは否定できません。それに、またそうであるからと言って、やみくもに書き始めれば書けて作品になるかというとそうでは決してありません。書くためにはまず入念な準備が必要であり、そのためにどれだけの時間をかけ、汗をかいて準備をされたかが、その書籍としての「自分史」の良し悪しの分かれ目と言ってもよいと思います。
今般、過去30年余り出版に関わった経験を踏まえ、執筆者が心に残る優れた自分史を書かれるためには、最低どのようなことに注意し、また何を心掛けられて、どのように執筆される必要があるのかといったことを、「みちびきの糸口」として整理することにしました。そうした思いで筆を進めていくなかで、書籍や自分史を書こうと思っていられる人の多くが、単に初めてというだけではなく、書籍とは関係のない職業に携わってこられていたことを改めて確認することになりました。本著では特にそうした人たちにとって、自分史を執筆されながら、こと自分史の執筆、制作といった面においてだけではなく、書籍や出版についての基本的な視点や基礎的な事柄についてもご理解いただきたい。そして、何もそうしたことをご存知ないままで執筆なさるよりも、それを踏まえての執筆の方が無駄が少なく、より生産的に執筆者の思いを込められた書籍、執筆になると考えたわけです。そのためタイトルを「自分史の手引き」としてはいますが、サブタイトルに「書籍と出版について学びながら」と記したわけです。そうすることで自分史を執筆しようと思われている方だけでなく、長年の研究成果や発見された事柄などを、後世の糧に残したいと思われている人にとっても、より参考になるのではないかと思い、願ったのがその理由です。
なお、年表の作成は翔雲社の鈴木光君の手になることをここに紹介し、併せて感謝します。
- まえがき
- (1)書籍の出版概要
- (2)自分史執筆の留意点
- ①なぜ自分史・自叙伝を書くのかを明らかにする
- ②人生のターニングポイントとなった「出来事」を見つける
- ③人生における「共通点」を見つける
- (3)自分史制作の準備とその意義
- (1)基本的な出版形態と出版社の視座
- 「自費出版」
- 「企画出版」
- 近年の出版業界について
- (2)執筆・出版上の心得
- 編集者の役割とは
- (3)編集者と執筆者の主な仕事
- 編集者の仕事
- 執筆者の仕事
- 「校正」「校閲」作業について
- 原稿執筆の5つの基本
- (4)出版契約の締結
- 出版契約の締結上の留意点
- 印税について
- 書籍を出版する際の心構え
- 「自分史」を出版するということ
- (5)書籍各部の名称と制作工程
- (a)書籍各部の名称
- (b)制作の基本的な流れとその内容・事柄
- ①原稿の搬入
- ②原稿の種類
- ③書籍のサイズと内容による分類
- ④文字の大きさと種類
- ⑤書籍用紙について
- ⑥表紙や見返し、カバー用紙の選択
- ⑦印刷と製本について
- (6)その他の基本的な用語・事項
- (7)校正と校閲、推敲について
- (a)校正でのチェックポイント
- (b)推敲上のチェックポイント
- 推敲のチェックリスト
- (1)自分史制作のコツ
- (2)書籍の基本事項
- (a)表紙、用紙の選び方
- (b)自分史の出版形態
- (3)資料の収集と執筆の準備
- (4)執筆における7つの留意点
- 1.「自分史」作成の目的と意図
- 2.年表や家系図
- 3.ライフサイクル
- 4.「自分史」のスタイルと資料収集
- 5.「目次」「見出し」と「文章構成の基本」
- 6.文章の7原則
- 7.推敲と校正
- (5)家系図とその作り方
- (a)家系図とは
- (b)家系図の作成に必要なもの
- (6)主要なライフステージとそこで記載したい事項
- 1.誕生
- 2.幼少期
- 3.小学校・中学校時代
- 4.高校時代
- 5.大学、短大、専門学校時代
- 6.社会人となって
- 7.結婚と家庭生活について
- 8.子供の誕生
- 9.子育て、子供の学生時代
- 10.子供らの結婚と孫の誕生
- 11.終活
- 12.その他
- (7)年表とその作成
- 付録《 年表 》
- 1926年~2018年(大正15年~平成30年7月)