地域包括ケアシステムの基礎的理解と実践
編著 | 関永信子 |
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判型 | A5頁:100 |
ISBN | 978-4-910135-00-7 |
発行 | 2021年3月 |
定価 | 1,760円(本体1,600円+税)
在庫:○
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あなたは、「地域包括ケアシステム」の説明に困ったことはありませんか。
本書作成の意図は、筆者の訪問看護師や介護支援専門員としてのフィールドワーク経験をベースに、地域包括ケアシステムが「よくわからない」という人の疑問に答えるため、もう一つは看護学生のための地域包括ケアシステムを、分かりやすく説明した補助教材を目指すことでした。
と言うのも(二〇二〇年)保健師助産師看護師学校養成指定規則の改正により、在宅看護論は「地域・在宅看護論」と名称を変更し、基礎看護学の次に記載されるようになりました。
これにより看護基礎教育の、対象の捉え方は、「療養する人」から「生活する人」へ転換し、地域で生活する人々と家族の健康と暮らしを支援するための、生活基盤である地域への理解が、早期に求められるようになりました。
地域包括ケアに貢献できる人材育成は、これまで卒後教育に重きが置かれていました。しかし地域包括ケアシステム等の推進が重視される中、看護基礎教育内容と教育方法の充実を図っていくことが求められています。
「地域包括ケアシステム論」は、社会の変化や、時代のニーズに求められた科目といえるのではないでしょうか。
さて、本著は「地域包括ケアシステムの基礎的理解と実践」と題して、地域包括ケアシステムの基礎と実践から成り立っています。構成は第一章、地域包括ケアシステムの概要と構成要素、第二章、地域での生活を支える保健福祉サービス、第三章、地域包括ケアと多職種連携、第四章.地域ケアシステムの実践となっています。
十分とは言えませんが、指定規則改正の主旨を考慮し「生活者の視点」と「地域包括ケアシステムの構成要素」を土台に、地域で暮らす人々を支援するための基礎的な知識を分かりやすく説明しています。さらに「病棟看護師・助産師」、「訪問看護師」、「大学教員」それぞれの立場から、地域包括ケアシステムの役割や取り組みの実践例を挙げています。
あなたが本著を読み終えた時、あなたの疑問に少しでも応えることが出来たならば著者としてこれ以上の幸せはありません。地域包括ケアシステムにおける看護師の役割や対象の理解がより一層深められることを期待しています。
二〇二〇年九月 関永 信子
- 地域包括ケアシステムの概要/地域とは
- 地域包括ケアシステムの目標/地域包括ケアの対象
- 地域ケアシステムはなぜ必要か/高齢者の厳しい経済状況
- 介護が必要となる疾患/高齢者の理解
- 高齢者の頼れない孤独な一面/高齢者の意識/幸福度と働く意欲
- 生活を支えるとはどういうことか/日常生活を理解する視点
- 日常生活支援に求められる理念/地域包括ケアシステムの構成要素/住まい
- 医療/介護/予防/生活支援
- 多職種連携が求められる場面/地域の連携は専門職と非専門職からなる
- 地域包括支援センターの役割/限りある財源/自助/互助/共助/公助
- 地域包括ケアに求められる看護の役割
- 病棟看護師・助産師として
- 対象者のニーズを満たす取り組み
- 丁寧な対応は看護の基本
- 最後まで「生きる」を支える
- 終末期の食の援助から学んだその人らしさ
- 育児不安のある褥婦への助産師介入について
- 患者様の不安を取り除き、自宅退院に向けた自立を促す関わり
- 訪問看護師として
- この地域に暮らして出来ること
- 初めての小児訪問看護
- 最後の時を過ごす家族
- がん終末期にあるA氏の訪問看護からの学び
- 終末期高齢夫婦が共に最後の時間を過ごすための支援
- 大学教員として
- 大学から発信する「認知症カフェ」の取り組み
- 孤独死を悪者にしない街づくり
- 地域における看護系大学の子育て支援
- 大学で開催する映画会「いっぺさ!鴨川シアター」による地域貢献
- 病気・ハンディキャップをもつ子どものきょうだい支援
- 参考文献
- 執筆順
- おわりに