新訳
製造業と原価計算法
原価計算の歴史的名著が、世紀を超えて新たな息吹を!
20世紀初頭のアメリカ企業において、標準原価計算の創成期を彩った一冊『Cost-Keeping for Manufacturing Plants』の新訳版。間接費の厳密な予算編成を提唱し、「原価計算の先駆者」と称されたスターリング・H・バンネルは、科学的管理法で著名なフレデリック・W・テイラーと同時代に活躍した実務家であり、その革新的な視点は、原価計算の基盤を築き上げ、企業経営に革新をもたらしました。
旧訳は、1917年(大正6年)、欧米経営学の紹介ブームの中で高塚栄によって刊行されましたが、新訳は、現代のビジネスパーソンがより理解しやすい形で再構築しました。原著作の帳票書式も忠実に再現し、当時の実務の雰囲気を伝えています。原価計算の実務に携わるすべての方に、新たな視点と変革のヒントを提供する一冊となっています。
旧訳は、1917年(大正6年)、欧米経営学の紹介ブームの中で高塚栄によって刊行されましたが、新訳は、現代のビジネスパーソンがより理解しやすい形で再構築しました。原著作の帳票書式も忠実に再現し、当時の実務の雰囲気を伝えています。原価計算の実務に携わるすべての方に、新たな視点と変革のヒントを提供する一冊となっています。
著 | スターリング・H・バンネル |
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訳 | 勅使川原敏之 |
判型 | A5頁:226 |
ISBN | 978-4-910135-09-0 |
発行 | 2024年11月 |
POD | 1,980円(本体1,800円+税)
在庫:○
|
電子版 | 1,540円(本体1,400円+税)
在庫:○
|
著者前文
正しい原価計算は、あらゆる製造業にとって極めて重要なものである。
本書は、経験豊富な会計専門家のために、正しい原価計算の原則を簡潔かつ包括的に説明することを目的としている。
近代的な原価計算方式を採用している会計専門家や製造業者には、時間と労力を節約する方法を提案し、原価システムの精度を高め、組織に対する有用性を全般的に促進することを期待している。
また、「お役所仕事」、「遅延」、といった費用によって生産性を低下させることを恐れて原価を調査することをためらっているほかの製造業者に対して、著者は、省力化と原価低減をもたらす能力を持つ工場管理者が、原価調査の必要な業務と密接に関連することによって、工場の生産量を増大させ、体系的記録に必要なわずかな経費で大きな利益が得られることの可能性を示すことを願っている。
この原稿を注意深く読み、題材や構成に関して多くの貴重な助言と援助を与えてくれたニューヨークのジョージ・V・S・ミカエリス氏に筆者は謝意を表するものであ。
1911年3月 スターリング・H・バンネル
- 著者前文
第1章 序論
- 1 複雑な工程を要する製造業
- 2 会計の重要性
- 3 会計と原価計算との関係
- 4 原価計算の効率化の条件
第2章 原価計算の概念
- 1 工業組織の成長過程
- 2 販売、生産、管理という三つの主要機能
- 3 三部門全てを支える計算書
- 4 原価と販売価格
- 5 資本金、収益力によって決まる価値
- 6 維持すべき機械装置の価値
- 7 工場開設時と操業時の仕訳帳記帳
- 8 運転資本
- 9 優先株式と普通株式、社債
- 10 総計算書
- 11 証憑式制度
- 12 原価管理者とその職務
- 13 使用される書式と方式
- 14 書類の整理と索引
第3章 製造原価の要素
- 1 原価決定の困難さ
- 2 時間的要素
- 3 材料
- 4 労働力と経費、「生産的」「非生産的」労働
- 5 「諸口」
- 6 間接費の増加要因
- (1)大規模工場における設備改良によるもの
- (2)福利事業によるもの
- 7 間接経費の項目
- 8 間接費を正しく配賦する意義
第4章 原価システムの導入
- 1 四つのステップから成る手順
- 2 新旧の工場への原価システムの導入
- 3 事前調査
- 4 人と状況に合わせた変更
- 5 棚卸しと在庫管理
- 6 古い在庫品の処理
- 7 仕掛品の評価
- 8 未完成作業の新しい工場指図書
- 9 原価システムの開始と維持
第5章 工場指図書
- 1 細分化されたロットへの生産作業の分割
- 2 「軍律的」かつ「職能的」な管理
- 3 販売部門から発行する指図書
- 4 「製品」、完成部品と経費の指図書
- 5 工場指図書の記入方
- 6 類似品をまとめた部品指図書
- 7 指図書係の職務
- 8 指図は明確であること
- 9 指図書の書式とコピーの使用
- 10 顧客の確認
- 11 アルファベット索引
- 12 「メタル・シグナル」による副索引
- 13 口頭注文と「突発的注文」の記録
第6章 材料費
- 1 購買活動
- 2 購買要求書
- 3 3番目の部類の購買
- 4 供給源、価格および条件
- 5 購買要求書のフォローアップ
- 6 購買発注書の記録
- 7 物品の受け入れ
- 8 在庫品倉庫と貯蔵法
- 9 継続棚卸
- 10 「荒加工」と「加工済み」の材料
- 11 在庫材料の評価
- 12 請求書のチェックと記帳
- 13 在庫材料、特別材料、完成部品の計上
- 14 スクラップ材料の貸方記帳
- 15 返却材料
第7章 労務費
- 1 評価の難しさ
- 2 賃金およびそのほかの労働特典
- 3 労務管理の秘訣
- 4 工場規則
- 5 給与制度
- (1)日給制
- (2)タイムレコーダー
- (3)出来高払い制
- (4)割増(プレミアム)制
- (5)差別的出来高払い制
- (6)課業賞与(ボーナス)制
- 6 各制度の比較
- 7 外部作業員または建造作業員
- 8 作業時間票
- 9 作業タイムレコーダー
- 10 作業時間票システムの利便性
第8章 「諸口」という原価
- 1 材料費および労務費に属さない項目
- 2 運送費
- 3 月額サービス料
- 4 燃料およびそのほかの大項目
- 5 「諸口」票
第9章 非生産費(間接費)の分類
- 1 製造間接費、管理費、販売費の分類
- 2 勘定科目を識別する略号
- 3 改良費
- 4 修繕費
- 5 動力光熱費
- 6 職長勘定
- 7 雑役費および消耗品費
- 8 不良材料および工賃
- 9 損失時間勘定
- 10 試験費
- 11 事務所および経営管理の費用
- 12 保険、税金、法務サービスおよび回収
- 13 販売費
第10章 製造間接費の配賦
- 1 問題点
- 2 配賦の四つの方法
- 3 それぞれの方法の長所と制限
- 4 複時間賃率法の正しい運用法
第11章 的確な製造間接費配賦率の算定
- 1 工場設備配置の計画および生産単位の集計
- 2 不動産料、動力費、修繕費、工具勘定、雑役費、そのほかの費用の配賦
- 3 的確な時間賃率
- 4 変動する労働力に対する特別配賦率
- 5 管理費および販売費
- 6 間接経費の特定項目の直課
- 7 工場改良作業と費用に関する製造間接費
- 8 的確な製造間接費配賦率の使用に対する異議と反論
- 9 製造間接費率の補充率
第12章 正確な棚卸法
- 1 目視検査による評価の不正確さ
- 2 カード式棚卸し
- 3 計数後の物品の評価
- 4 棚卸票による継続棚卸
- 5 過剰在庫と不要在庫
第13章 原価計算の処理手順
- 1 四つのステップ
- 2 時間と労力を節約する方法の正確さ
- 3 資材要求票の値付けと転記
- 4 数値ガイドカードによる索引付け
- 5 労働時間票のチェックと転記
- 6 グループ別の労務費、または作業別・出来高別の詳細な労務費
- 7 パターン番号と処理番号
- 8 諸口票の転記
- 9 参照のためのチケットのファイリング
- 10 ルーズリーフホルダー
第14章 出荷、総括および請求書発行
- 1 出荷のたびに請求書を発行することの大切さ
- 2 出荷指示
- 3 出荷品の検査
- 4 出荷メモ
- 5 受領書
- 6 運賃請求書と運送費
- 7 出荷した製品の原価計算の仕上げ
- 8 原価総括表と請求書
- 9 完成指図書の登録簿
- 10 完成した製品を在庫または直販する場合の会計処理
- 11 販売時に支払われる手数料
第15章 定期報告書類
- 1 部門長の時間節約につながる総括表の活用
- 2 会計期間の選定
- 3 日常業務の一環で提供すべき全ての有用な財務諸表
- 4 売上計算書
- 5 収支計算書
- 6 総計算書
- 7 工場報告書
- 8 配分過不足の残高
- 9 未完成外部作業報告書
- 10 報告書および計算書の適切な利用
第16章 原価システムの活用
- 1 数値および記録を利用する必要性
- 2 索引付けと相互索引付け
- 3 有能な原価計算係の資質
- 4 原価計算表を用いた売上の請求書発行
- 5 指図書の原価比較および比較を容易にする方法
- 6 新規作業の見積もりにおける原価記録の活用
- 7 材料および労務の価格変動への対応
- 8 記録と索引の両方を維持する重要性
- 訳者あとがき
- 索引